教育に良くないとか何とかでテレビとか漫画が規制されまくる時代。
あまり規制しすぎると糞つまらない漫画だらけになってしまいますよ。
規制が行き届いた未来がきたらどうなってしまうのか?
それを予測した作品。
アウターゾーン87話「禁書」のご紹介。(キンドル版8巻)
ミザリィはチョイ役なので今回もスルー。
地下室
今回の舞台は、マンガがほとんど抹殺されてしまった世界。
少年がとある漫画家さんのお宅に訪問するというシーンからスタート。

ここに来ればマンガが読めるのでウッキウキの少年。
漫画家さんは、隠し扉をオープンして地下室へ。
地下室の本棚には大量のマンガが置いてありました。
地下室のマンガは「裏マンガ」と呼ばれています。
少年はここに通って「裏マンガ」を見るのが楽しみで仕方ありません。
少年は、裏マンガをむさぼり読み始めました。
「正義の味方が悪いやつをメチャクチャにやっつける」という、普段は読めないマンガの内容に少年のテンションは上がりまくりました。
少年は疑問に思った。
なぜ、今のマンガ家はこういう面白いマンガを書かないのか?
それを漫画家さんに聞いてみた。
漫画家
「書いても出版できないのさ。『道徳的な』マンガ以外を発行すれば法律で罰せられる。
子供に悪影響があるからと言って、格闘シーンもラブシーンもギャグも抜きだ。
思想も入れちゃいけない。いったい何を書けっていうんだ?」
この時代では、マンガは本屋の片すみでしか見かけない貴重なものとなっていた。
それどころか、格闘技番組やテレビアニメ、ゲームセンターやロック音楽、そのような面白くて熱中できるものは、全て規制されてしまっている。
その手のマンガを持っているだけで罪になってしまうのだ。
少年は、自分もマンガを書きたいと思い、漫画家さんにマンガの書き方を教えてもらっている。
そんな生活が続いてから、すでに1ヶ月ほど経っていた。
レンタル
少年は、マンガにハマり過ぎてしまい、漫画家さんの家で読むだけでは物足りなくなってしまった。
家で続きが読みたいので、漫画家さんにマンガ本を貸してもらえないかとお願いする。
もちろん、地下室がバレては困る漫画家さんは、断固拒否。
しかし、少年は我慢できなくて、隙を見てこっそりとマンガ本を持ち帰ってしまった。
バレなければOKだと思ったからだ。
続きが読みたいという気持ちはものすごく分かる。
エロ本
少年は、持ち帰ったマンガ本を、オーソドックスにベッドの下に隠していた。
そんなレベルの低い本の隠し方では、母親が掃除中に見つけてしまうのは当然だ。

ん?
所持していると罪になるレベルのけしからんマンガ本。
そんなものが、息子のベッドの下から出てきたということでお母さんは酷くお怒りです。

エロ本を発見したどころの騒ぎではない。
アニメもゲームも禁止された世界設定で、母親が黒髪ではないが、そこは気にしない方向で。染めるわけないですからね。
少年は、「イラストレーターさんの所で絵の勉強をしている」自分の母親にウソをついていた。
そのデータから、マンガ本はイラストレーターさんのものだと母親は判断。
そして、通報。
漫画家さんは逮捕されてしまいましたとさ。
裁判
法律で禁止された書物を隠し持っていた漫画家さんは裁判にかけられる。
裁判官は3人ですが、なぜか女性だけで構成されています。
漫画家
「法律で禁じられた本を所持していたが、悪いことはしていない」
さいばんかん
「悪質な本のせいで、少年は悪の道に走りました!その証拠に、母親に嘘をついていました!不良化の前兆です!」
漫画家
「親を誤魔化すことぐらい誰だってやることさ。あんたらは子供の頃に親に嘘をついたことはないのか?」
さいばんかん
「失礼な!」
さいばんかん
「下品で汚いマンガを子供に読ませて、人格の形成を阻害するのが目的だったのですか!?」

漫画家
「人間の本質を、何も知らされないで育つほうが、よっぽど子供にとっては悪影響だ。子供の人格を壊してるのは『あんた達』の方だよ」
さいばんかん
「判決を言い渡します! 被告人は30年の禁固刑に処す!」
漫画家
「子供は我々が考えているよりずっと『大人』なんだ。あんた達も昔は子供だったのに、なぜそれが分からない・・・!!」
残念ながら漫画家さんの想いは届きませんでした。
完全に少数派で悪者にされています。
漫画家さんの悔しそうな顔や切ない表情がとても印象的です。
裁判官も人間の本質がまだ残っている様子。
規則だからとか、そういう風に育てられたからだとか、多数派に便乗する形で少数派の意見が殺されている可能性は高いです。
少数派ですが、自分の考えをしっかりと持った、漫画家さんのような人物が他にもいると思われます。
そういう意味では、この世界では、まだマンガが復活できる余地がありそうです。
焼却
漫画家さんが地下室に隠していた、大量のけしからん本たち。
それらは、見せしめとして一般市民の前で焼却されることになりました。
さぎょういん
「火をつけろ!」
バシュウ!
ゴオオオオオ
少年
「なんてことを・・・。あんなに面白い本を・・・どうして・・・」
少年は涙を流しました。
自分のせいで漫画家さんが捕まってしまったこと。
あんなに面白い本が燃やされて無くなってしまったこと。
面白いマンガが認められないという事実に絶望し、涙しました。
意志
月日が流れ、少年は成長しました。
もちろん、マンガは規制されたままです。
彼は、表向きはイラストレーターとして働いていますが、
漫画家さんの意志を引き継ぎ、こっそりとマンガを書いていました。

彼は、漫画家さんが自分にしたように、マンガ好きの少年を育てていくでしょう。
自分がしたように、隙を見てマンガをパクられるというヘマはしないでしょうね。
もしくは、ちゃんとした本の隠し方を教えてあげていただきたい。
果たして、漫画家さんの願いが叶う日はいつか訪れるのか!?
おわり(^o^)
さいごに
規制が厳しくなった世界は素晴らしい世界なのか?
それとも、つまらない世界なのか?
なんでもやり過ぎは良くないもの。
規制するにしても適度にやって欲しいです。
ダメと言われると逆にやってしまうのが人間。
諦めて代わりのものを見つけるか、別の手段を考えて解決策を見いだすか。
ゲームを禁止されたらマンガを読む。マンガも禁止されたら隠れて読む。
この作品では、漫画が社会的に抹消されています。
社会は多数派向けに設定されているものです。
多数派がいつも正しいとは限りません。
みんな多数派によっての洗脳(教育)されていますからね。
実際に正しいかどうかは分かりませんが、漫画家さんのように自分の考えで自分の意見を言えるようになりたいものです。
(C)2005光原伸/SHUEISHA

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